看護過程

【看護過程】大腿骨頸部骨折のアセスメント~健康知覚編~

投稿日:2020年12月21日 更新日:

男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回から看護過程アセスメントシリーズを始めていこうと思います!
実はnoteでは既にCOPDでやっており、今回は2症例目です。
興味のある方は是非そちらもご覧ください!
【note】看護過程のまとめ!COPDアセスメント他

はじめに

本シリーズの目的ですが、看護過程の見本として活用いただくことです。
看護過程を最初に習い始めたときは何が正解かわからず、どう書けばいいかというところから筆が止まってしまうと思います。
そのため、少しでも書き方のイメージを付けられるように様々な疾患の看護過程を書いていければと思います。
なお、本アセスメントはゴードンの11領域です。また、患者情報は事例であり架空の人物です。
※アセスメントの細字は一般論、太字がAさんの分析です。

情報

・85歳
・女性
・左大腿骨頸部骨折
・自宅で転倒し、ヘルパーに発見され搬送、入院した
・既往
糖尿病
糖尿病性神経障害
糖尿病性眼障害
骨粗鬆症
高血圧症
・独居
・薬物療法
グルコバイOD錠(αグルコシダーゼ阻害薬)
アクトネル錠(ビスフォスホネート製剤)
アムロジピン(降圧剤)
・内服は在宅看護で管理
・人工骨頭置換術(入院後5日目)
・リハビリ(立ち上がり、歩行訓練)
・飲酒歴なし
・喫煙歴なし
・間食はしていない(糖尿病になってからやめた)
・「減塩と糖質の摂りすぎに気を遣って食事していた。」
・「薬は配薬カレンダーで管理して飲んでた。」
・「本当に痛かった。動いた時に痛んだ。もう二度とあんな思いはごめん。」

アセスメント

大腿骨頸部骨折とは、大腿骨の一部である大腿骨頸部と呼ばれる部分に生じる骨折である。大腿骨は、骨盤骨とともに股関節を構成する骨である。大腿骨頸部とは、大腿骨のなかでも股関節を形成する側の付け根に当たる部分である。大腿骨頸部と骨盤との間で構成される股関節は、可動性・安定性を高めるために関節包と呼ばれるもので両者が強化されている。関節包は股関節が滑らかに動くことができるような構成をとっている。大腿骨頸部骨折とは、大腿骨頸部が骨折を起こすことをいい、関節包の内部における骨折のことを大腿骨頸部骨折と呼ぶ。大腿骨頸部骨折は、骨密度の低下を基盤として骨折が発症する。その要因として挙げられるものは、骨粗鬆症、糖尿病、腎機能低下、甲状腺機能低下症、喫煙、加齢である。特に女性は閉経によるエストロゲンの低下を要因として、骨形成が抑制され、骨密度が低下しやすい。
Aさんは自宅にて転倒して左大腿骨頸部骨折となっている。Aさんは老年期であるため、加齢変化による平衡機能や糖尿病性眼障害による視力の低下などから転倒リスクが存在していた。さらに背景には加齢変化や糖尿病による骨粗鬆症が存在していると考えられる。これらのことから、骨粗鬆症による骨密度低下状態に転倒という外力が加わったことで左大腿骨頸部骨折に至ったと考えられる。
大腿骨頸部骨折を発症すると、足の付け根の痛みと腫れを認めるようになり、その痛みや使用する骨の支持力不足で歩行困難を生じる。これによって日常生活や動作に大きな支障をきたし、寝たきりとなる可能性がある。
Aさんは骨折時、動けない状態で発見された。その際、「動かしたらすごく痛かった」と発言しており、左大腿骨頸部骨折によって歩行困難、動作時痛が症状としてあったことが言える。現在は動作時痛はないが、歩行困難が存在している。しかし、これは左大腿骨頸部骨折によるものではなく、後述する安静臥床による筋力の低下が原因と考えられる。

大腿骨頸部骨折の治療としては、手術による根治療法である。手術方法としては、骨接合術と人工骨頭置換術に分けられる。手術方法の選択については、年齢や普段の活動度、骨折の重症度などを考慮して適宜選択される。人工骨頭置換術では前方アプローチ、後方アプローチに分かれており、各々で禁忌肢位が存在している。前方アプローチは伸展・内転・外旋、後方アプローチは屈曲・内転・内旋が禁忌肢位であり、この肢位では脱臼する可能性がある。脱臼が起こるメカニズムとしては手術によって筋肉や関節包などの軟部組織による支持力の低下が原因である。手術直後はこの支持力が低下しているため脱臼のリスクが高いため、禁忌肢位に十分注意する。また、高齢者では骨折、手術後に長期臥床の状況になると、急速な速度で活動度が低下するため、術後リハビリも必要となる。
治療は人工骨頭置換術(前方アプローチ)による手術である。手術による合併症は見られておらず、順調に回復傾向であり、適切な治療が受けられている。術式が前方アプローチであり、高齢者のため支持組織の回復力が低く、脱臼リスクが存在していると考えられる。また、手術前後の安静臥床の期間によって筋肉量が低下し、歩行困難な状態になっている。また、栄養状態も悪化しており、食事からでは栄養が不足している状態となっている。現在はリハビリ・輸液を中心に活動範囲を広げる治療を行なっている。

セルフケアとは、個人が生命、健康及び安寧を維持するために自分自身で開始し、遂行する諸活動の実践である。本人の主体的な活動であり、健康行動についてもこれが必須である。
自身の健康を維持するための適切な行動をとるための要因として、罹患性・重大性・有益性・障害の認識がある。罹患性の認識は「病気へのかかりやすさの認識」、重大性の認識は「病気への重大さの認識」、有益性の認識は「健康行動へのメリットの認識」、障害の認識は「健康行動へのデメリットの認識」である。罹患性、重大性の認識がなされ、有益性が障害を上回ったとき、脅威の認識がなされ、適切な保健行動がとれる。
Aさんは糖尿病になってから間食をやめていることや「減塩、糖質の摂りすぎに気を遣っている」ことから高いと考えられる。また、薬に関しては在宅看護を利用しながら「配薬カレンダーのものを飲んでいる」ことから、健康管理能力の一部に欠落はあるものの、サービスを利用して管理できており、セルフケア能力はあることが言える。また、自身が糖尿病や高血圧のために減塩・糖質の取りすぎに気を遣っているという行動を起こしているため、脅威の認識から保健行動をとれていたことが考えられる。

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最後に、記事を最後まで読んでいただきありがとうございます!もし、ご意見やご質問、改善点、ご希望のテーマがごさいましたら、よろしくお願いいたします。フィードバックしてよりよくしていきたいと思っております。

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