男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は非ホジキンリンパ腫です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、リンパ球ががん化した血液がんの一種です。リンパ系組織(リンパ節、脾臓、扁桃腺など)から発生し、全身のリンパ節や他臓器に広がる可能性があります。ホジキンリンパ腫とは異なり、NHLは非常に多様なサブタイプがあり、それぞれ病態や進行速度が異なります。
NHLの主な病態は、異常なリンパ球の増殖です。このがん細胞は、正常なリンパ球の働きを妨げ、免疫機能の低下を招きます。また、増殖したリンパ球が正常組織を圧迫したり、浸潤したりすることで様々な症状を引き起こします。
主な症状には、以下のようなものが挙げられます。
- リンパ節の腫れ:首、脇の下、鼠径部などのリンパ節が痛みを伴わずに腫れることが最も一般的な症状です。
- 全身症状:発熱(原因不明・易感染・組織破壊による炎症反応など)、寝汗、体重減少(6ヶ月以内に10%以上の減少)。
- 他臓器への影響:骨髄に浸潤すると造血能が低下し、貧血、感染症、出血傾向が生じます。消化管に浸潤すると腹痛や腸閉塞、胃潰瘍に似た症状が出ることがあります。神経系に浸潤すると、麻痺や神経症状を引き起こします。
治療法は、病気のタイプや進行度によって大きく異なります。
- 化学療法:抗がん剤を使用してがん細胞を破壊する治療法です。
- 放射線療法:特定のリンパ節や病巣に放射線を照射して治療します。
- 分子標的薬:がん細胞特有の分子を標的とする薬剤で、リツキシマブなどが使用されます。
- 造血幹細胞移植:大量化学療法後に、自己あるいは他者の造血幹細胞を移植して、正常な血液細胞の回復を促す治療です。
看護問題・看護診断
- 感染リスク状態
- 栄養摂取消費バランス:必要量以下
- 不安
NHLの看護では、まず治療による影響への対策が重要になります。特に化学療法は骨髄抑制を招き、白血球減少による感染リスク、赤血球減少による貧血、血小板減少による出血傾向が生じます。
また、治療の副作用や病気自体の影響で、強い疲労感や食欲不振が出現し、栄養状態の低下を招くことがあります。
がんという診断や、長期にわたる治療、予後に対する不安も大きな看護問題となります。
ポイント
非ホジキンリンパ腫の関連図を作成する際は、代表的な症状であるリンパ節の腫れを核に、そこから各臓器への影響、特に骨髄抑制についてのつながりをきちんと書きましょう。
骨髄抑制は、感染、貧血、出血傾向という複数の問題に繋がるため、この関連性は非常に重要です。
また、この疾患は長期にわたる経過をたどることが多いため、身体的な問題だけでなく、心理的、社会的な問題にも焦点を当ててアセスメントすることがポイントです。
非ホジキンリンパ腫の病態関連図
非ホジキンリンパ腫の病態関連図↓
参考引用文献
MSDマニュアル家庭版.非ホジキンリンパ腫(NHL)
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.悪性リンパ腫p531
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
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