男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は感染性腸炎です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
感染性腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が腸管に感染し、炎症を引き起こす疾患です。原因によって大きくウイルス性と細菌性に分けられます。
ウイルス性腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどが原因で、感染経路は経口感染が主です。これらのウイルスが腸管の上皮細胞に感染し、細胞を破壊することで炎症が生じます。これにより、水分や電解質の吸収が妨げられ、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が出現します。特に乳幼児はロタウイルスに感染しやすく、重症化すると脱水症状を起こしやすいです。
一方、細菌性腸炎は、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなどが原因となります。これらの細菌は、毒素を産生したり、腸管粘膜に直接侵入したりして炎症を引き起こします。食中毒として発症することが多く、潜伏期間が比較的長いのが特徴です。ウイルス性腸炎よりも症状が重くなることがあり、発熱や血便を伴うこともあります。
どちらのタイプの腸炎も、激しい下痢が持続すると、体内の水分と電解質が失われ、脱水状態に陥ります。脱水が進むと、循環血液量が減少し、尿量減少、口渇、皮膚の乾燥、意識レベルの低下などがみられます。また、炎症による腹痛や、食事摂取困難による栄養状態の低下も重要な問題となります。
治療の基本は、失われた水分と電解質を補給する対症療法です。経口補水液や点滴による補液が中心となります。
看護問題・看護診断
- 体液量不足
感染性腸炎では、激しい下痢による脱水が最も緊急性の高い問題です。看護診断としても体液量不足が挙がってきます。
そのため体液量の評価(水分のINOUTや乾燥の有無など)が重要になってきます。
ポイント
感染性腸炎の関連図を書く際は、原因となる病原体(ウイルス・細菌)によって、病態や症状、治療法に違いがあることを明確に区別して書くことが重要です。
今回の関連図は感染性腸炎単体での関連図になるため、ウイルス・細菌の詳細は記載していません。
今後ノロウイルスや大腸菌など原因別で関連図を書いて紹介します。
感染性腸炎の病態関連図
感染性腸炎の病態関連図↓
参考引用文献
MSDマニュアル家庭版.胃腸炎の概要
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.腸管出血性大腸菌感染症p612、ノロウイルス感染症p622
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
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