男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は妊娠高血圧症候群です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
妊娠高血圧症候群は妊娠期に生じる高血圧を呈する疾患です。
原因は明確ではありませんが、家電的要因や初産婦、高齢、肥満、多胎妊娠、高血圧や腎疾患の既往などが要因として挙げられています。
これらの要因で胎盤形成不全を生じるところから病態は始まります。
胎盤形成不全によって胎盤が虚血状態となり、低酸素負荷を受けた絨毛細胞がさまざまな物質(因子)を放出します。
これが母体の血管を障害する(血管内皮障害)ことで妊娠高血圧症候群が生じると言われています。
妊娠高血圧症候群は症状によって分類が変わります。
妊娠20週以降に高血圧のみ発症する場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿を認める場合は妊娠高血圧腎症と分類されます。2018年からは蛋白尿を認めなくても肝機能障害、腎機能障害、神経障害、血液凝固障害や赤ちゃんの発育が不良になれば、妊娠高血圧腎症に分類されるようになりました。(日本産科婦人科学会引用)
妊娠高血圧症候群の症状は分類によって様々ですが、どの場合でも高血圧が出てきます。
高血圧までの流れは3つあり、ひとつはエンドセリンの分泌によって抹消血管収縮が起こり血圧が上がる。
ふたつ目はレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が活性化するため。
3つ目は腎障害によって濾過機能が低下し、水分が貯留するため、です。
また、水分が貯留するため浮腫も生じます。
浮腫は他にも血管内皮障害によって生じた炎症反応からも生じます。
腎障害が進むとタンパク尿が出現するようになります。
肝障害やフィブリン沈着による血液凝固障害や血小板減少などが重なるとHELLP症候群を引き起こす可能性があります。
HELLP症候群は命に関わることもある疾患のため、事前に管理をする必要があるかを調べます。
脳血管や心血管などに障害がいくと、脳卒中、子癇、周産期心筋症を引き起こすこともあります。
また、これは症状とは少し異なりますが、胎盤形成がうまくいかないため、常位胎盤早期剥離によって早産になったり、子宮内胎児の発育がうまくいかなかったりすることもあります。
これらのことから妊娠高血圧症候群を持つ妊産婦はハイリスクとして管理をする必要があります。
治療は妊娠を可能な限り早く終了することです。
胎盤があることで生じている疾患のため、妊娠終了によって胎盤がなくなれば治癒していきます。
もし、すぐに終了させられない場合は降圧剤などの薬で症状を和らげます。
看護問題・看護診断
- 非効果的自己健康管理リスク状態
- 安楽障害
過去に治療のために過剰な塩分制限や水分制限などをしていたことがありますが、近年では否定的です。
このように妊娠期において日常生活の中で大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意点などをきちんと理解して行動する必要があります。
また、症状が出ている場合、浮腫などが生じると足部の掻痒感や圧迫感などを感じるため、安楽障害の状態になることが多いです。
ポイント
妊娠高血圧症候群の病態はあくまで説ではありますが、主疾患として関連図に書く場合は上記で説明した病態を中心に書いていくことをオススメします。
妊娠高血圧症候群は人によって出てくる症状やそれによる問題も様々です。
その部分については病態関連図の外側に情報を付け加えて個別性を出していきましょう。
妊娠高血圧症候群の病態関連図
妊娠高血圧症候群の病態関連図↓
参考引用文献
日本内科学会雑誌104巻2号p247~252.妊娠高血圧症候群
日本内科学会雑誌第101巻第1号p172~178.妊娠高血圧症候群と腎:定義、病態、治療
トーヨーエイヨー医療関係者向け情報循環器用語ハンドブック.エンドセリン/エンドセリンアイソフォーム
J-STAGE.妊娠とsoluble VEGF receptor 1(sFlt-1)
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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