男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
看護実習で受け持つ患者には入院の直接的な要因になる主疾患というものがあると思います。
関連図はこれを中心に書いていきますが、実際にはこれ以外の疾患がある場合がほとんどです。
有名なのが既往です。
これらの主疾患以外の疾患が多くあった場合、関連図にどう書いていけばいいのか、どこまで細かく書いていく必要があるのか、分からない人や不安になる人がいると思います。
今回は複数疾患の関連図の書き方について解説していきます。
複数疾患の関連図の書き方
複数の疾患があった場合、以下の手順で考えていきます
①疾患を主疾患とそれ以外に分ける
②主疾患とのつながりのある疾患を探す
③現在問題になっている疾患を探す
④該当にならなかった疾患を捨てる
順番に解説していきます
①疾患を主疾患とそれ以外に分ける
疾患が何個もあったらまず主疾患とそれ以外に分けます。
例えば、高血圧症(10年前診断、内服治療中)、肺炎(2年前に罹患)、骨粗鬆症(5年前診断、内服治療中)、心不全(2年前診断、今回増悪して入院)といった患者がいたとします。
主疾患は今回入院に至った疾患・今患者にとって1番問題となっている疾患のため、この事例では心不全が主疾患です。
それ以外はすべてそれ以外の疾患として分けておきます。
この部分に関してはカルテに主疾患と書いてあることもありますし、みなさん既にしていると思います。
②主疾患とのつながりのある疾患を探す
主疾患がわかったら、それ以外の疾患の中から主疾患とのつながりがあるものを探します。
つながりというのはほとんどの場合、原因→主疾患という関係性です。
例えば、事例ですと心不全が主疾患なので、心不全の原因になる疾患がないかを探します。
事例の中だと高血圧症が循環器系に長期わたる負荷をかけるため心不全の原因になりえます。
この場合、高血圧症は既往であるものの、主疾患の原因となるため、主疾患と同レベルの細かさで関連図に書く必要があります。
③現在問題になっている疾患を探す
次に残った疾患の中から現在問題になっている疾患を探します。
現在問題になっているかどうかを判断するにはアセスメントを用います。
アセスメントの中で、主疾患以外の疾患で症状があり、それが看護問題・看護診断につながっていたり、既に治療をしており内服管理などが必要になっていたり、といった具合です。
例えば、事例の骨粗鬆症は5年前に診断されていますが、現在治療中で内服薬を服用しています。
アセスメントでは内服するのに難があり、ノンコンプライアンスの看護診断があがっています。
このような場合は現在問題になっている疾患という扱いで関連図に書き込みます。
④該当にならなかった疾患を捨てる
ここまでで該当しなかった疾患は関連図に書く必要はありません。
今回の事例で言うと2年前に罹患した肺炎ですね。
該当しない疾患の特徴としては、
・既に完治している疾患(急性疾患など)
・治療の必要がない疾患(軽度の不整脈など)
などが挙げられます。
どのくらいの細かさで書けばいいのか
ここまででどの疾患を書く必要があるのか、逆に書く必要がないのかを選別することができました。
ここからは関連図に書く必要のある疾患たちをどのくらいの細かさで書けばいいのか解説していきます。
まず主疾患ですが、これは細かく書く必要があります。
関連図の軸になる部分なので、どんな原因で、どんな変化が起こり、どんな病態で、どんな症状が出たのか。
このくらいの細かさで丁寧に書いていきます。
ここで②で選別した疾患も出てきます。
ですので、軸となっている主疾患と同様の細かさで書いていきます。
例えば、塩分過多な食事→血液中のNa濃度上昇→浸透圧調節→血液中水分の増量→持続的な血圧上昇→高血圧症→長期にわたる心負荷→心臓機能の低下→心不全
主疾患や原因となる既往疾患はこのくらいの細かさで書いていきましょう。
③で選別された疾患は逆にそこまで書く必要がありません。
どんな原因があったか、どんな治療をしているか、くらいで大丈夫です。
例えば、加齢変化→骨粗鬆症⇦骨粗鬆症治療薬
くらいで問題ありません。
ただし、看護問題や看護診断が今1番問題になっている場合は主疾患と同じレベルで書く必要があります。
というか、その場合は主疾患がその疾患になっている可能性が高いので、主疾患2本建てか元の主疾患を③レベルで書く、といった感じになると思います。
例えば、主疾患は治療して落ち着いてきているが、既往の帯状疱疹が再発症して痛みが強く、安楽障害が1番問題になっている、というような状況の場合は帯状疱疹について細かく書く必要がでてきます。
おわりに
ここまで、複数の疾患に対する書き方について解説してきましたが、いかがでしょうか?
関連図に全て書く必要はない、書くべき疾患だけを選出して書く、これは看護過程における情報収集からアセスメント、関連図の流れの中で重要なポイントです。
関連図を書くにあたって避けて通れない部分だと思いますが、是非身につけていただければと思います。
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