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【無料関連図】術後の関連図

投稿日:2021年2月9日 更新日:




男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回は術後の関連図をご紹介します。
術後の反応は多岐複雑であり、それが正常か異常かを理解することが学生の内は難しいです。
そのため、術後の反応について全体像を把握する必要があります。
しかし、これをまとめるのが一苦労…余計分からなくなることもよくあります。
そこで、今回は術後の反応について関連図を書きました。急性期実習では必ず書くことになるとは思いますので、理解の助けになればと思います。

ムーアの分類

「あれ、関連図は?」と思った方もまずはこの言葉を知りましょう。(格段に理解が早まります。)
ムーアの分類とは、術後の患者の身体状態の変化を時期別で分類したものになります。
術後などの急性期の患者は回復過程において著しい身体変化が起きます。
日単位でこれらの変化をまとめたものがムーアの分類であり、このメカニズムを理解することは急性期看護実習において、非常に有利です。
関連図は上から時系列順に流れるという大きな決まり(?)がありますが、このムーアの分類に沿うことで身体状態変化を追うことができます。
今回の関連図では特に皆さんが苦戦するであろう術直後~2,3日(ムーアの分類第1相)をご紹介します。

画像1

ムーアの分類(文献によって時期に違いあり)


1.手術侵襲の関連図

手術侵襲に対する身体の反応は多岐にわたります。
今回取り上げている反応についても代表的なものであり、術式や患者の既往・状態によって追加されることがあります。

この中でポイントとなる反応は発熱、血圧、疼痛、外科的糖尿病です。

〈発熱〉
発熱は炎症性サイトカイン反応による侵襲熱と吸収熱によって引き起こされます。これは体に傷をおったことで起こる正常な反応です。
そのため、術直後~2,3日は微熱(37℃台)となっています。
もし、38℃以降や2,3日以降続くことがあれば、感染が疑われるため異常反応となります。

〈血圧〉
血圧に関しては、炎症性サイトカイン系の反応で低下する傾向にあります。それを神経系が上昇作用をもたらすことで血圧のバランスを保っています。
血圧が急激に大きく低下していた場合は術後出血などによる循環血液量減少性ショックを引き起こしている可能性があるため、異常反応となります。

〈疼痛〉
疼痛は手術侵襲によって必ず起こる反応です。鎮痛剤を使用しても治らない方もいますが、基本的に自制内(我慢できるレベル)であれば異常とはしません。しかし、離床困難や排痰困難から廃用症候群や無気肺といった合併症を引き起こす可能性があります。そのため疼痛コントロールが術後においては重要になります。

〈外科的糖尿病〉
外科的糖尿病は術後の正常反応によって引き起こされる一過性の高血糖状態を言います。高血糖状態は主に創傷治癒に対して悪影響を及ぼし、治癒が遷延する原因となりえます。これにより創部感染や縫合不全などの合併症が引き起こされることがあるため、血液検査にて高血糖状態である場合は、これらの徴候を見逃さないようにしましょう。


2.全身麻酔の関連図

全身麻酔は術式によっては行わないこともありますが、押さえておきましょう。

ポイントは人工呼吸器装着、術後腸管麻痺です。

〈人工呼吸器〉
人工呼吸器について、全身麻酔時は必ず使用します。
人工呼吸器そのものによる合併症は主にチューブ類による気道や声帯の損傷です。
また、気道内分泌物(痰)が産生・貯留することで気道閉塞が起こり、無気肺となることがあります。

〈術後腸管麻痺〉
術後腸管麻痺は麻酔の影響で腸蠕動運動の抑制が生じることをいいます。
術後1〜3日で回復するものではありますが、もし回復しない場合は麻痺性イレウスを生じている可能性があり、即座に報告する異常反応となります。


術後反応の理解ポイント

術後の反応について理解するためのポイントは正常と異常の違いです。
術後において、今起きていることが正常な反応なのか、異常な反応なのかがわかることは実習達成目標に挙げられるほど重要です。
異常反応は創部感染、縫合不全、術後出血、イレウス、無気肺、ショックなどの術後合併症につながっており、すぐに看護師に報告をしなければなりません。(基本的に学生が対処する必要はない)
この関連図をみて、その異常がどのようなメカニズムで起こるのかを理解しましょう。

術後の関連図が見えにくかった人へ

以下のリンクから無料でダウンロードできますので、見えにくかった方は是非ご活用ください!

おわりに

今回は術後関連図についてご紹介しましたがいかがだったでしょうか。
術後は実習で必ず経験する内容ですが、変化が大きく、理解が追いつかないことで留年してしまうことも多いです。
内容の重さから意気消沈していた人もこれが一助になったら幸いです。

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参考・引用文献

医学書院.成人看護学
外科と代謝・栄養47巻2号2013年4月.外科的糖尿病(surgical diabetes)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/47/2/47_77/_pdf/-char/ja
日本麻酔科学会.麻酔を受けられる方へ
国立国際医療研究センター.麻酔の副作用・合併症
その他授業資料(出典不明)

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プロフィール

男性産業保健師の鳩ぽっぽです。看護専門学校を3年、看護大学を2年経験した看護学生でした。看護過程の中で関連図が得意で、その知識やノウハウが伝えられたらと思い関連図ブログを作ることを決意。関連図の書き方や各疾患の病態関連図を中心に記事を書いています。noteでも活動しており、看護過程や産業保健師について書いていますので是非ご覧ください。