男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は化学療法の副作用です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい情報
- 化学療法でよく出る看護診断、看護問題
- 化学療法関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
化学療法とは、がんに対して抗がん剤などの薬物を使って根治・緩和を目指す治療法のことを言います。
様々な種類の抗がん剤があり、それぞれに出現しやすい副作用があります。
今回紹介する関連図では、全体的に出現する副作用についてまとめているため、出現のしやすさについては各抗がん剤を調べて参照してください。
化学療法では、主に以下の副作用があります。
- 悪心・嘔吐
- 骨髄抑制
- 便秘・下痢
- 末梢神経障害
- 腎・肝機能障害
- 皮膚障害
- 脱毛
- 血管外漏出
この中でも、特に悪心・嘔吐、骨髄抑制、血管外漏出について解説します。
悪心・嘔吐
悪心・嘔吐は嘔吐中枢への刺激によって生じます。
嘔吐中枢への刺激は3つのルートがあります。
・延髄の化学受容器引金帯への刺激
・消化管粘膜でのセロトニン産生→求心迷走神経刺激
・精神的な刺激→大脳皮質を経た刺激
また、急性のものと遅延性のもの、予期性のものがあり、それぞれ生じる時期が異なります。
急性は投与開始から24時間以内に出現するもので、セロトニンの関与が考えられます。
遅延性は、投与開始から24時間以後に出現し、5日程度持続することがあります。
予期性は抗がん剤の投与前に生じます。過去の抗がん剤投与の経験から生じるものです。
骨髄抑制
骨髄抑制は骨髄での造血機能が一定期間抑制されることを言います。
これにより、白血球、赤血球、血小板が減少します。
特に白血球減少は患者への影響が大きいです。
白血球減少のピークは投与から1〜2週目が多く、回復期間も同様に1〜2週間のため、投与後から1〜3週間は注意が必要です。
好中球500/μL以下で感染する確率が高まります。
また、投与後に発熱が生じた場合、発熱性好中球減少症を疑い、治療を開始します。
詳しい病態は不明ですが、好中球の減少によって感染リスクが高くなるため、バイタルサインによる観察が重要です。
血管外漏出
これは抗がん剤のみによるものではありませんが、点滴による抗がん剤投与の際、細胞毒性をもつ抗がん剤が血管外に漏出することで、炎症や壊死を引き起こすものです。
壊死起因性(水疱、潰瘍、組織壊死を起こす)、炎症性(痛みや炎症を起こす)、非壊死性(炎症や壊死を起こしにくい)に分かれており、それぞれ生じやすい抗がん剤が分かれています。
壊死起因性:ドキソルビシン、ダウノルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、イダルビシンetc.
炎症性:イリノテカン、シスプラチン、ブレオマイシン、カルボプラチン、イホスファミドetc.
非壊死性:インターフェロン、インターロイキン、メトトレキサート、ペプロマイシンetc.
壊死起因性の漏出時は即時投与を中止し、可能な限り薬液と血液を吸引します。
看護問題・看護診断
- 低栄養
- 脱水
- 便秘
- 下痢
- 感染リスク
- 転倒リスク
- ボディイメージの変容
- 安楽障害
人によってはもっと多く出てくるかもしれませんが、それぞれの副作用に看護問題が存在しています。
副作用は制吐薬など発生を抑える治療もありますが、それがない場合が多いです。
観察やケアの工夫などまさしく看護の力が求められます。
ポイント
今回は前述した通り、全般的な副作用について書いてあります。
患者によって使われる抗がん剤は異なり、それぞれに出やすい副作用があります。
例えば、下痢はイリノテカンやメトトレキサート、便秘はパクリタキセルやドセタキセル、腎障害はイホスファミド、シスプラチンなど
また、患者によって出現する副作用も異なるため、きちんと選択して書くようにしましょう。
また、発症時期も異なります。
現在投与してからどのくらい経つのか、今どんな副作用のリスクが高いのか、と言う視点でアセスメント・関連図を書いていきましょう。
詳しくは下図を参照ください。
化学療法の副作用の関連図
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参考引用文献
学研.理解が実践につながるステップアップがん化学療法看護
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
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