男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は多発性骨髄腫です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
多発性骨髄腫とは、形質細胞のがんです。
形質細胞とは、免疫を司る血球の一つで、抗体(免疫グロブリン)を産生して病原体を排除する役割を持ちます。
この形質細胞が何らかの原因でがん化することで生じます。
原因は不明ですが、遺伝要因だと考えられています。
病態は主に3つあります。
- 骨髄腫細胞の増殖
- 異常免疫グロブリン(Mタンパク)の産生
- 破骨細胞の活性化
骨髄腫細胞の増殖では、造血を司る骨髄内でがん化した形質細胞が異常に増殖し、造血機能を抑制します。
造血機能の抑制によって、赤血球、白血球、血小板の減少が起こります。
特に白血球減少は後述するMタンパクの増殖による免疫力の低下とも相まって、感染リスクの高さにつながります。
異常免疫グロブリン(Mタンパク)の産生では、本来作られる正常な免疫グロブリンがMタンパクになることで、免疫力が低下したり、血液の粘性を上昇させ過粘稠度症候群を起こしたり、様々な臓器への沈着による障害を引き起こします。
特に、腎臓への沈着によって腎障害を引き起こしやすいです。
破骨細胞の活性化では、骨破壊が進行し、骨粗鬆症のような状態になります。
高カルシウム血症や脊椎変形による痛みや痺れ、脆弱骨折などを引き起こします。
治療は、主に化学療法、放射線療法です。
看護問題・看護診断
- 転倒・転落リスク
- 安楽障害
- 感染リスク
血液系のがんに多い看護問題・看護診断が挙げられます。
特に転倒転落リスクは、骨髄抑制による血小板減少、骨破壊進行による脆弱骨折が相まって、身体損傷のリスクが非常に高いのです。
環境整備等十分な配慮をしましょう。
ポイント
多発性骨髄腫は一見すると全く異なる症状が出現しますが、全て多発性骨髄腫の症状です。
関連図にその病態を表現する際、前述した3つの病態の道筋を明確に示せるかがポイントになります。
病態の道筋をきちんと理解した上で症状とつなげていきましょう。
多発性骨髄腫の病態関連図
多発性骨髄腫の病態関連図↓
参考引用文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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