男性産業保健師の鳩ぽっぽです。今回の関連図は播種性血管内凝固症候群です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
播種性血管内凝固症候群は全身の血管に血栓が生じることで、血流障害を起こす疾患です。
また、進行すると血液凝固が増加することで出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たしてしまい、過度の出血を引き起こします。
原因は様々ですが、主に、感染症、がん、母性疾患が挙げられます。
感染症は主にグラム陰性菌に感染した場合ですが、感染することで内毒素が放出され、これが組織因子を活性化させます。
がんは膵臓・前立腺の腺がん、急性前骨髄球性白血病などがある場合、これら腫瘍細胞から組織因子が分泌されます。
母性疾患は常位胎盤早期剥離や羊水塞栓症が挙げられ、胎盤組織にある組織因子を活性化する物質に母体が曝露することで生じます。
これら組織因子の放出により、凝固カスケード(血液凝固を生じる流れ)が開始され、過剰な凝固反応が生じます。
過剰な凝固反応が生じることで血栓が形成され、深部静脈血栓などが起こりやすくなります。
また、微小血管に血栓が生じることで循環不全が起き、最終的には多臓器不全を引き起こすことまあります。
凝固反応が促進することで、それを溶かす線溶系も促進されます。
凝固促進と線溶促進が進むと、凝固因子や血小板が枯渇してきます。
これによって凝固ができなくなっていき、出血がしやすい(易出血性)状態になってしまいます。
鼻血や紫斑などの身近な出血に始まり、脳出血、肺出血などの臓器からの出血が起こり、出血多量による出血性ショックに至る可能性もあります。
治療としては、原因の是正が挙げられます。
例えば、感染症が原因であれば抗菌薬の投与、母性疾患であれば子宮摘出などがあります。
原因の是正ができない場合、補充療法を行います。
補充療法は不足しているものを補充することでバランスを戻そうとする治療のことです。
血小板、ファブリノーゲン、その他凝固因子・抗凝固因子などを投与していきます。
看護問題・看護診断
- 不安・恐怖
- 非効果的自己健康管理リスク状態
出血傾向にある場合、脳出血などの重大な疾患のリスクがあることから、強い不安感や恐怖心を抱くことがあります。
また、補充療法においてはきちんと治療を進めていかないと十分な効果が見込めませんので、治療への理解をきちんとしておく必要があります。
ポイント
播種性血管内凝固症候群のポイントは進行度合いの把握です。
最初の病態は凝固が促進されることによって血栓が生じやすくなる部分の症状が出てきますが、進行にするにつれ、易出血性というまったく逆の症状が出現します。
進行度合いによって関連図を書く範囲が変わってきますので、現在患者に生じている症状をアセスメントしておく必要があります。
播種性血管内凝固症候群の病態関連図
播種性血管内凝固症候群の病態関連図↓
参考引用文献
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.播種性血管内凝固症候群p538
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