男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は胃がんです。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
胃がんとは胃粘膜細胞ががん化する疾患です。
がんの中でも男性患者数が最も多く、女性患者数は3番目に多いです。罹患率傾向としては全体的に減少傾向にあります。
原因は明確なところは不明ですが、危険因子としてヘリコバクター・ピロリの感染、喫煙、塩分過多な食生活、遺伝要因、自己免疫性萎縮性胃炎が挙げられています。
症状は初期段階ではないことが多く、進行してもない人もいます。
代表的なものとしては炎症反応によって起こる胃の痛みや発熱、組織破壊に伴う胃液分泌の低下・腫瘍増殖に伴う通過障害から食欲不振や消化不良、低栄養などがあります。
また、有名な転移としてウィルヒョウ転移があります。
看護問題・看護診断
主に以下のものが挙げられやすいです。
- 転倒リスク
- 低栄養
- 安楽障害
転倒リスクはダンピング症候群や貧血がある場合に出てきやすいです。
看護学生は治療補助を直接行うことはできませんが、環境整備や食事の工夫、除痛のケアなどを計画、実践できると思います。
ポイント
胃がんの関連図の特徴は外科療法に伴う合併症が他疾患より多いです。
代表的なものに、ダンピング症候群、貧血、骨粗鬆症があります。ダンピング症候群は早期と後期(晩期)に分かれており、腸内に食物が急速に流れ込むことによって生じます。これにより、発汗やめまい、嘔吐、血圧低下、低血糖症状が起こり、食事に対する恐怖・不安感につながったり、転倒リスクが高くなったりします。
貧血は2種類あり、悪性貧血(巨赤芽球貧血)と鉄欠乏性貧血です。
悪性貧血は胃の内因子が無くなることで、ビタミンB12が吸収できなくなり、赤血球合成に障害を起こします。また、ビタミン欠乏によって末梢神経障害を起こすことがあります。
鉄欠乏性貧血では、胃液分泌の低下から鉄のイオン化がはかれなくなり、鉄の吸収障害が起こります。鉄の補給が追いつかなくなると、ガス交換に有効な赤血球が減るため、貧血症状がでます。
骨粗鬆症では、胃酸の減少や腸内細菌叢の変化からカルシウム吸収障害やビタミンDの不足が起き、骨密度が低下することで生じます。 このように、胃を喪失したことによる合併症がかなり多いのが胃がんの特徴です。
胃がんの病態関連図
胃がん+ダンピング症候群
胃切除合併症(貧血、骨粗鬆症)
引用・参考文献
医学書院.疾患別看護過程第2版
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
メディックメディア.病気が見える消化器vol.1
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