男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は非定型抗精神病薬の副反応です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
抗精神病薬とは、統合失調症に対して処方される薬の種類を言います。
その中でも定型、非定型に分かれており、現在は非定型抗精神病薬が主流です。
抗精神病薬は副反応が多く、統合失調症の症状以上に副反応によるトラブルが生じることがあり、抗精神病薬の副反応の把握は必須と言えます。
今回取り上げる非定型は定型よりも副反応が出にくい(詳細は下記)と言われてますが、定型よりも副反応が多岐に渡り、注意が必要なことには変わりありません。
そんな抗精神病薬で見逃しやすい副反応が、誤嚥性肺炎と水中毒です。
誤嚥性肺炎は高齢者に生じやすいと思う人も多いと思いますが、抗精神病薬の副反応でも生じます。
抗精神病薬のドーパミン遮断作用によって、サブスタンスPという物質が低下します。
このサブスタンスPとは咳嗽反射や嚥下反射を司る神経に影響を与える物質で、この物質量が低下することで誤嚥を引き起こしやすくなります。これによって誤嚥性肺炎が副反応として出現することがあるのです。
食事の時も看護師は観察をしていることがあると思いますが、これは副反応として誤嚥が生じていないかを確認するためでもあります。
水中毒は病院で聞く機会は少ないと思いますが、精神領域であれば常識的に聞く問題です。
患者を見ていてもよくお腹が膨らむほど水を飲んでいる人がいます。
水中毒は水を飲水しすぎることで電解質バランスが崩れることで生じます。原因はドーパミン遮断作用による口渇中枢への刺激です。これによって抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が抑制され、水分が体内に貯留しやすくなります(抗利尿ホルモン分泌不適合症候群)。さらに口渇感から水分を摂取するため、完全に水分のインアウトバランスが崩壊します。
最悪、命にも関わりますが、治療法は水分制限しかなく、一度なると治すのが難しいです。
そのため、まだなっていない状態であれば、その兆候を見逃さず、早めの対応ができるようにすることが重要です。
非定型と定型の違い
非定型は定型よりも副作用が少ないと言われますが、それは真ん中にあるセロトニン受容体遮断作用によるドーパミン受容体遮断作用の抑制が大きく影響しています。
定型の場合、セロトニン受容体に対しては何も作用しないため、ドーパミン受容体遮断作用が強く出ます。
そのため、錐体外路症状などが出現しやすいです。
しかし、非定型の場合、セロトニン受容体への影響がその作用を緩やかにするため、副作用が出現しにくかったり、出たとしても軽減してくれます。
その代わり、ヒスタミン受容体遮断作用やムスカリン受容体遮断作用が出現することが多く、特に体重増加は出現しやすいため注意が必要です。
看護問題・看護診断
ノンコンプライアンス
自己健康管理促進準備状態
体液量過剰
嚥下障害による低栄養
内服などの治療行動に対する看護問題や誤嚥・水中毒などの副反応に伴う看護問題などが挙げられます。
特に治療行動については精神疾患の場合、病識の欠如から怠薬が生じやすいため、看護問題に挙がりやすいです。ただ、病識に関する介入は困難なことが多いため、現場の看護師としっかり話し合った上で必要な支援を考えましょう。
ポイント
ポイントはどの症状が副反応として出ているかを書くことです。
これは薬物療法の副反応の全般に言えますが、副反応は全てが出るわけではありません。個人によって出てくる反応の種類や程度は変わってきます。
自分の受け持ち患者にはどの症状が出ていて、看護問題があるか。
この時点で関連図を書けるようななってみてください。
非定型抗精神病薬の副反応の関連図
非定型抗精神病薬の副反応の関連図↓
参考引用文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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