男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図はIgA腎症です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
IgA腎症は、免疫グロブリンの一種であるIgAが腎臓の糸球体に沈着し、炎症を引き起こすことで、血尿やタンパク尿などを生じる慢性的な腎臓病です。
病態は多段階に分かれています。
まず、異常なIgAが作られ、これが循環血液中に流れます。
次に、このIgAが腎臓の糸球体メサンギウム領域に沈着します。
このIgAの沈着が補体経路を活性化させ、サイトカインなどの炎症性物質が放出されます。
この炎症反応が糸球体を傷つけ、血尿やタンパク尿を引き起こします。
IgA腎症は、扁桃炎などの上気道感染症や、消化器感染症の後に症状が悪化することが特徴です。
これは、感染によってIgAの産生が活発になるためと考えられています。
炎症が持続すると、糸球体や尿細管、間質が線維化し、やがて腎機能が低下します。
腎機能の低下が進むと、体内の老廃物が十分に排泄できなくなり、慢性腎不全に至ります。
慢性腎不全になると、全身のさまざまな臓器に影響を及ぼし、貧血、高血圧、電解質異常(高カリウム血症など)、骨代謝異常、アシドーシスといった合併症が生じます。
治療は、病状の進行度によって異なります。
軽症の場合は、生活習慣の改善(塩分制限など)や、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)といった降圧薬による治療を行います。
症状が進行し、腎機能低下がみられる場合は、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬による治療が行われることもあります。
腎機能が末期まで低下した場合は、透析療法や腎移植が検討されます。
看護問題・看護診断
- 体液量過多
- 低栄養
- 不安
IgA腎症の看護問題としては、腎機能低下に伴う症状が中心となります。
特に、腎機能が低下すると体内の水分や塩分をうまく排泄できなくなり、体液量過多や高血圧を招くため、これらへの注意が必要です。
また、タンパク尿によって栄養状態が低下したり、食事制限が必要になったりするため、栄養状態の管理も重要です。
慢性疾患であるため、将来への不安や治療に対する不安を抱く可能性もあります。
ポイント
IgA腎症の関連図を書く際は、上気道感染症から始まるIgAの産生と、それが腎臓の糸球体に沈着していくメカニズムを理解することが重要です。
また、慢性腎不全へと進行する過程と、それに伴って生じる全身的な合併症を網羅的に記載することで、より包括的な関連図になります。
IgA腎症の病態関連図
IgA腎症の病態関連図↓
参考引用文献
MSDマニュアル家庭版.糸球体腎炎
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.慢性糸球体腎炎p392
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
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