男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は脳腫瘍です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
脳腫瘍とは、脳神経細胞ががん化することで様々な脳神経障害を引き起こす疾患です。
脳腫瘍には2種類あります。
原発性:原発性脳腫瘍とは、脳神経細胞から発生した腫瘍のことで、悪性・良性共にあります。
続発性:続発性脳腫瘍とは、転移性の脳腫瘍のことです。体の別の部位で発生し、脳へ転移を起こし広がるため、悪性です。
原発性脳腫瘍では、神経膠細胞や星状細胞、髄膜などががん化することで生じます。
続発性脳腫瘍では、乳がん、肺がん、腎がん、白血病などのがんが原因です。
脳腫瘍が引き起こす症状は様々あります。症状は突然現れることもあれば、徐々に進行していくこともあります。最初にどの症状が現れ、どのように進行するかは、腫瘍の大きさ、増殖速度、発生部位によって異なります。腫瘍が増殖するにつれて神経組織が圧迫されても、通常は破壊されません。したがって、最初のうちは何の症状もみられないこともあります。
出現する症状は各部位によって異なります。
- 前頭葉
前部:感情や思考、注意力を司るため、これらの機能が低下します。
後部:運動を司るため、ここが障害されると半身麻痺や筋力の低下が生じ、運動機能障害がおこります。
ブローカ野:発語を司るため、ブローカ失語という発語困難な状態となります。 - 頭頂葉:感覚や認知を司るため、ここが障害されると、異常感覚による痺れや感覚障害、左右の認識ができなくなる失認などの症状が出てきます。
- 側頭葉:ウェルニッケ野という言語認識を司る領域が障害されると、言葉による認識や理解が困難になります。その際、発語は流暢ですが、文として成立していない場合が多いです。
- 後頭葉:後頭葉は主に視覚を司るため、ここが障害されると視覚情報処理が困難となり、眼の機能は維持されているが見えていない状態(皮質盲)となります。その際、見えていない状態にもかかわらず、見えているものを説明することがあります(作話)。
- 大脳辺縁系:大脳辺縁系は脳の様々な領域につながっており、脳内ネットワークを形づくる領域です。ここが障害されると脳内ネットワークの機能が低下し、てんかんや記憶障害を引き起こします。
各部の障害による症状は以上です。
次は脳の全体的な障害による症状です。
頭蓋内圧亢進症状
腫瘍の増大や脳室の遮断による髄液の貯留が原因で頭蓋内圧が亢進します。
圧が上昇し、脳実質がその圧に晒されると、頭痛や嘔吐を生じます。
また、脳が圧によって下方に押し出されることで脳ヘルニアを引き起こします。
脳ヘルニアが起こると脳幹が圧迫され、生存に不可欠な呼吸や循環に障害が生じて、最悪の場合死に至ります。また、大脳の圧迫では意識障害や麻痺が生じることがあります。
看護問題・看護診断
- セルフケア困難
- 安楽障害
- コミュニケーション困難
脳の障害部位によって大きく異なりますが、脳は代償機能が働きやすいため、初期の段階では特に看護問題が出てこないことがあります。
ポイント
脳の疾患全ておいて言えますが、障害部位によって症状の出方や程度が変わるため、その患者にはどのような症状が出ているのかを見て、どの部位が障害されているのかを関連図に書きましょう。
また、他の脳疾患と異なる点として、脳腫瘍は進行性です。症状が強まったり、新しく出てきたりします。
その変化は急性的ではありませんが、日々の小さな変化から感じ取れることもあると思います。
その変化を感じ取ったら、看護師に共有を図り、どのようなリスクが出てくるかを考えましょう。
脳腫瘍の病態関連図
脳腫瘍の病態関連図↓
参考引用文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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