【教員に怒られない関連図】鼠径・大腿ヘルニア

男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は鼠径・大腿ヘルニアです。

この記事で知れること

• 看護学生レベルで知っておいた方がいい病態情報
• 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
• 本関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識

病態

鼠径ヘルニアとは、足の付け根（鼠径部）の筋膜の欠損部や弱い部分から腸管などが腹膜に包まれた状態で皮下に脱出する状態のことを言います。

鼠径ヘルニアには、一般的に内鼠径ヘルニア、外鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があります。鼠径部のどの部分から内容物が出てくるかによって種類が異なります。鼠径ヘルニアは80％以上が男性であり、その多くは外鼠径ヘルニアです。一方、女性は大腿ヘルニアの割合が高く、その違いは男女の解剖学的な差異に基づくと考えられます。これらは内容物が出てくる部位の違いのみではなく、症状や経過などにも違いがあります。

〈外鼠経ヘルニア〉
外鼠径ヘルニアは、睾丸につながる血管や精管の通り道（入り口を内鼠径輪といいます）に沿って、皮下に腸の一部が出たり入ったりします。乳幼児の男児と中年以降の男性に多いが、これは鼠経管のサイズが男性の方が大きいためと考えられます。
〈内鼠経ヘルニア〉
加齢などで内鼠経輪より内側にある抵抗性の弱いヘッセルバッハ三角という部位から腸管などが鼠経管を通って外鼠経輪より皮下に脱出する場合を内鼠経ヘルニアと呼びます。中高年の男性に多いです。
〈大腿ヘルニア〉
加齢によって大腿静脈が貫いた孔（大腿輪）から腸管などが入り込み、鼠径靭帯直下の皮下に脱出する場合を大腿ヘルニアと呼びます。中高年の女性、特に多産の高齢女性に多く、嵌頓を起こしやすいです。

症状は主に不快感や消化器症状があるが、最も重篤なのが嵌頓と呼ばれる状態です。
通常のヘルニアの状態では内容物が出入りできるのに対して、嵌頓状態になると出入りすることができなくなります。
これによって腸が虚血状態となり、腸閉塞や腸が壊死するケースもあり、迅速な治療が必要になります。

鼠経ヘルニアは自然治癒せず、治療は外科手術が基本です。

看護問題・看護診断

• 安楽障害

鼠経ヘルニアは腸管が皮下に出入りするため、その際に不快感が生じます。
この不快感から安楽障害の看護診断が出てきやすいです。

ポイント

鼠経ヘルニアでは嵌頓が命に関わる最も重篤な状態があります。
関連図にはリスクで書かれるかと思いますが、必ず書きましょう。

鼠径・大腿ヘルニアの病態関連図

鼠径・大腿ヘルニアの病態関連図↓

参考引用文献

MSDマニュアル家庭版.鼠径ヘルニア

南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.鼠径ヘルニアp２１２

医学書院.看護診断ハンドブック第10版

医学書院.疾患別看護過程第２版

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