男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は多発性硬化症です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
多発性硬化症とは、過剰な免疫反応によって脳脊髄の髄鞘という部位がダメージを受ける難病です。
原因は明らかにはなっていませんが、遺伝的な要因と環境的要因(EBウイルス感染や喫煙)があると言われています。
過剰な免疫反応によって髄鞘がダメージを受けることで脱髄が起こり、神経伝達が上手くいかなくなります。
症状は神経系のものであり、それぞれ大脳・脊髄、脳幹、小脳、視神経に大別できます。
大脳・脊髄では感覚や運動の障害、認知機能の障害が起こります。(ただし、大脳は大きいため、無症状のことも多い。)
脳幹では顔面麻痺、嚥下障害など脳神経の異常が多いです。
小脳では振戦、歩行困難など主に運動機能に障害をきたすことが多いです。
視神経では視力低下、視野欠損が生じます。
病状の進行にはパターンがあり、以下のように進みます。
再発寛解型:再発(症状が悪化する時期)と寛解(症状が緩和するか悪化しない時期)が交互に現れます。寛解期間は数カ月から数年続きます。再発は自然に起こる場合もあれば、インフルエンザなどの感染症が引き金になる場合もあります。
一次性進行型:病状が進行しない一時的な停滞期間もみられるものの、寛解や明らかな再発はなく、徐々に病状が進行します。
二次性進行型:最初のうちは再発と寛解が繰り返しみられますが(再発寛解型)、しばらくすると緩やかな進行が続くようになります。
進行再発型:病状は徐々に進行しますが、その過程で突然の再発もみられます。このパターンはまれです。
(引用:MSDマニュアル家庭版.多発性硬化症)
看護問題・看護診断
- 活動量低下
- セルフケア困難
- 廃用症候群
- 誤嚥
- コミュニケーション困難
看護問題としては、運動神経障害による活動量の低下や廃用症候群、脳神経障害である誤嚥リスクや構音障害によるコミュニケーション困難などが挙げられます。
進行はかなりゆっくりですが、病院に入院している時点でかなり進んでいることが考えられるため、看護の必要度は高いことが多いです。
ポイント
多発性硬化症の関連図のポイントとしては、神経症状からどこが障害されているかを書くことです。
人によって進行や症状の出方はバラバラのため、どの領域、神経がどの程度障害されているかを選択して書く必要があります。これを書くことで、その人にあった個別性のある関連図にもなります。
多発性硬化症の病態関連図
多発性硬化症の病態関連図↓
参考引用文献
難病情報センター.多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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