男性産業保健師の鳩ぽっぽです。今回の関連図は褐色細胞腫です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
褐色細胞腫は副腎にできる腫瘍疾患です。
20〜30代に多い疾患で、良性腫瘍のことが多いですが、一部は悪性腫瘍となり転移することもあります。
原因は遺伝性疾患で、多発性内分泌腫瘍症や神経線維腫症などがあります。
これらの疾患によって副腎で腫瘍細胞が増殖し、褐色細胞腫が発症します。
副腎は本来、カテコールアミン類(交感神経伝達物質)を分泌する機能がありますが、褐色細胞腫はそれを促進し、交感神経の過剰な興奮を引き起こします。
交感神経が過剰に優位になることで、循環器・消化器・代謝系など全身に症状が出ます。
循環器では心収縮力増加・心拍数増加による動悸や重度の高血圧、末梢血管収縮による末梢冷感、脳血管の急激な拡張から神経圧迫による頭痛、血圧調整機能障害による起立性低血圧などが出現します。
特に動悸、重度の高血圧、頭痛、起立性低血圧はほとんどの場合で出現します。
消化器では消化管運動が抑制されるため、便秘や腹痛などが生じやすくなります。
代謝系は主に糖代謝に影響を及ぼします。肝臓のグリコーゲン分解が促進されるため、血中のグルコース濃度(血糖値)が高くなり、高血糖状態になります。
それ以外にも大量の発汗や瞳孔拡大による視覚障害、強迫感によるパニック発作などがあります。
治療は外科療法による腫瘍の摘出が最も効果的です。しかし、術前に血圧のコントロールが必須なため、降圧剤などの薬物療法を事前に行います。
看護問題・看護診断
- 安楽障害
- 転倒転落リスク
- 不安
頭痛や便秘など不快感を生じる症状が出現することが多いため、安楽障害が挙がります。
起立性低血圧が生じやすいため、転倒転落リスクが挙がります。動作開始時の見守りや環境整備が必要です。
興奮状態による全身症状によって強迫感を感じ、不安を抱くことがあります。病状の説明や傾聴などを看護として行います。
ポイント
交感神経系の亢進という病態のため、自律神経の関係している部分に症状が生じます。
特に循環器系には顕著な症状が出ます。
患者に生じている症状が褐色細胞腫の病態によって生じているか考え、その道筋を明確に示しましょう。
そのために自律神経系、血管、糖代謝系の知識がかなり必要になったので、きちんと調べておきましょう。
褐色細胞腫の病態関連図
褐色細胞腫の病態関連図↓
参考引用文献
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.褐色細胞腫p355
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