男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は統合失調症です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
統合失調症とは、現実とのつながりの喪失や幻覚、思考の異常、感情の平坦化などを症状とする精神疾患のひとつです。
精神看護実習では恐らく受け持つ機会が最も多い疾患です。
人口の約1%の割合で発生し、男女差はありません。
原因は明確にはなっていませんが、遺伝的要因と環境要因が影響していると考えられています。また、発達段階において神経系の脆弱性がある場合、これも要因の一つとなります。
病態は、上記の要因から脳構造の変化や神経伝達物質のバランス乱れが生じることです。
この神経系の異常によって脳が司る様々な機能が低下します。
その機能低下は主に3つに分けられます。
- 陽性症状
- 陰性症状
- 認知症状
陽性症状は現実ではありえないことを感じる症状のことです。主に妄想や幻覚、思考の障害、奇異行動が挙げられます。
妄想は、自分が何かしらの被害を受けたと感じる被害妄想、全く関係のない事柄が自分に向けられていると錯覚する関係妄想、自分の考えが誰かに見られていて公開されていると感じる思考奪取の妄想などがあります。人によって全く異なるため、どのような種類かを判別しましょう。
幻覚は通常では感じえない五感を感じてしまう症状です。幻視、幻聴、幻味、幻嗅、幻触があり、人によって出現の仕方は変わります。
思考の障害は考えていることがうまくまとまらないことを言います。これによって支離滅裂な会話につながり、うまくコミュニケーションが取れなくなります。
奇異行動は通常では行わない行動で、不潔行動(お風呂に入らない、物を散らかす)や不適切な言動(デリカシーのない発言、モラルのない行動)が挙げられます。
思考の障害や奇異行動は解体症状と呼ばれることもあります。
これらの症状により、強いストレスとなり、抑うつ状態からうつ病や希死念慮、自殺企図につながることがあります。
陰性症状は通常時はある思考や感情が鈍化、平坦化してしまう症状です。感情鈍麻や発語の乏しさ、快感消失、非社会性が挙げられます。
これらの症状によって意欲が低下、コミュニケーションの困難さが生じます。日常生活や社会生活に最も影響をもたらし、看護の必要度が高くなる症状です。
認知症状は認知機能の低下です。これによって、注意障害や問題解決能力の低下、作業記憶障害、社会的相互関係の理解力低下が生じます。これらも日常生活や社会生活に直接影響を及ぼします。
治療は主に薬物療法で、抗精神病薬の内服があります。
治療は早ければ早いほど効果がありますが、副作用も多く、使用には注意が必要です。
副作用による身体不調や病識のなさから自己中断や怠薬をしやすいことも統合失調症の特徴で、再入院の契機はこれによるものが多いです。
看護問題・看護診断
- セルフケア困難
- 言語的コミュニケーション障害
- 非効果的コーピング
- ノンコンプライアンス
症状に伴う生活能力の低下や社会活動の低下によって生じるものが多いです。
また、治療に関して適切な理解や行動が取れないこともよく挙げられます。ただ、これに関しては現場でもかなり関わり方が難しいため、学生のうちはこれで看護計画は挙げない方が無難です。
ポイント
統合失調症は発症期で受け持つことは少なく、既に入院してしばらく経った人が多いと思います。
その際に見えてくるのは、生活行動や社会行動がうまく取れない状態です。
これは、その人がそうしたくてしているわけではなく、疾患による脳神経の機能障害によるものです。
疾患が生活や社会行動にどのようにつながっているかを明確にしつつ、関連図を書きましょう。
また、疾患自体よりも、治療による副作用の方が現時点での患者の困りごとに挙がってきやすいです。
それに関しては抗精神病薬の副作用の関連図を参考にしてください。
統合失調症の病態関連図
統合失調症の病態関連図↓
参考引用文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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