男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回は関連図をどこまで細かく書けばいいのか、について解説していこうと思います。
関連図の悩みのひとつ、「どこまで細かく書けばいいのか分からない」「要点を押さえた書き方が分からない」。
看護学生の皆さんなら一度は悩んだことがあると思います。
本記事では、この難題の解決法とそのポイントについて書いていきます。悩んでいる方は是非最後までご覧ください!
前提
まず、この話を進める前にお伝えしておくことがあります。それは…
学校や教員、臨床指導者によって求められる細かさは変わる
ということです。
本来ならその辺りを統一して欲しいところですが、看護を指導する人によってかなり変わります。
病態面を細かく指摘する人もいれば、心理社会面についての細かさを求める人もいます。
そのため、この記事のポイントではうまく解決しない場合があります。
その点はご了承ください。
細かく書く際のポイント
早速結論ですが、下記のポイントが満たされていれば、十分細かく書けている(これ以上書く必要がない)と言えます。
- 筋道が理解できる
- キーワードとなる単語が出ている
- 長い単語やアルファベット、数字が出てきたらやめる
ひとつずつ解説していきます。
①筋道が理解できる
関連図の流れをみたときに、前後のつながりがおかしくない、飛躍していない、という状態です。
わかりやすい例としては、疾患の病態が挙げられます。
自分の書いた病態が、原因→身体変化→状態→症状にきちんと当てはまったら筋道が理解できる関連図です。
例えば、COPDであれば、喫煙→肺胞壁の破壊、気道炎症→表面積の減少、気道閉塞→換気量の低下→ガス交換障害、低酸素血症、呼吸困難となっていたら筋道がきちんとしています。もし、喫煙から換気量の低下につながっていたら飛躍していることになり、筋道が立てられていない関連図となります。
※ただし、難病をはじめとした病態が解明されていないものについては例外となります。
②キーワードとなる単語が出てきているか
各疾患や看護問題を書く上で、その疾患や問題にしかない特徴的なキーワードがあるか、確認しましょう。
わかりにくいので言い方を変えると、その疾患や問題を選択・判断した根拠です。
例えば、低栄養という看護問題を挙げたとするなら、摂食量(食事摂取量)の低下や血液データ(TP、Albなど)体重減少などが関連図の中に書かれていればその部分はそれ以上細かくする必要はありません。
少し難しいかと思いますので、使いやすくするコツをお伝えします。
それは、教科書やNANDAでよく出てくる単語や診断指標を参考にすることです。
特に、NANDAなどの看護診断の診断指標は、「それがあるからこの看護診断になりました。」という正しく根拠のため、キーワードそのものです。
もし、看護診断を挙げたら、診断指標の言葉がつながっているかを確認してみましょう。
③長い単語やアルファベット、数字が出てきたらやめる
これは細かく書くため、ではなく、細かすぎない関連図の書き方になります。
簡単に言うと、難しい言葉が出てきたら、そこで深めるのをやめるということです。
例えば、病態などを深めるために、調べ物をしていて、CD4陽性細胞や末梢繊毛細胞、IL-17など医学要素の強い単語が出てきたら、細かくするのをそこまでにします。
なぜなら、教員や指導者もそこまで理解していないことが多いからです。(かなり感覚的な理由ですみません)
特に、教科書にも出てこないような、論文から引っ張ってきたような単語を書いたところで、恐らく評価にはつながりませんし、下手をすると、「疾患病態しか見ていない」「もっと患者の個別性を出せ」とか言われるので、報われない結果に終わることが多いです。
ただし、疾患によっては遺伝性疾患や先天性異常など、その難しい単語こそが重要なもの、ということがあるので、必ず①②を確認した上で判断しましょう。
細かく・深める方法
ここからは細かくする、深める方法について解説していきます。
その方法とは、「なぜ?なぜ?」と自分に問うことです。
慣れた表現で言い換えると「根拠を求め続ける」ことです。
関連図を書いてみて間がスカスカで寂しいとき、教員から足りないと言われたときなどに、その箇所に対して「なぜそうなるのか」と問いましょう。
それが答えられればその内容を追加すればいいですし、答えられなければ調べたり、アセスメントを見返したりして、その回答を間に項目として入れていけば、細かくできます。
例えば、歩行困難→ADLの低下を細かくしようと思ったら、
まず、「なぜ歩行困難になるとADLが低下するんだろう」「なぜADLの低下が出るんだろう」と問いかけます。
すると、ADLは生活動作のこと、患者さんは生活動作の清潔動作や排泄動作が自立していない、「なぜ自立していないと言えるのだろう」アセスメントで清潔動作、排泄動作は全介助のため、と分析しているから
ここまで考えられたら、あとはそれを歩行困難とADLの低下の間に入れます。
歩行困難→清潔動作・排泄動作が全介助→清潔動作・排泄動作の自立度低下→ADLの低下
他にも、歩行困難から筋肉量が減り、疲労を感じやすくなり、生活動作が難しくなった、ということも書けます。この深め方は関連図に限らず使えます。
そこまでして細かくする意味があるの?
今更ですが、細かくする必要がそもそもあるのか、ということについてです。
できることなら関連図は細かく書きたくないですよね。
時間もかかりますし、何より面倒ですし。
しかし、個人的には、細かく書けるなら細かく書いた方がメリットは多いと思います。
ひとつは疾患理解が深まること。単純に関連図と疾患は相性がいいです。病態や症状などの発生メカニズムを関連図で表現できれば、誰でも理解しやすい図の完成です。そういう意味で、関連図を深めることは疾患の理解にもつながりやすいです。
ふたつ目は関連図のレベルが上がることです。ここでいうレベルは教員や指導者からみたレベルです。これも単純な話で、たくさん書いてあればあるほど、この関連図はすごい、頑張りがみえる、という見た目だけの印象でレベルが高いだろうと錯覚します。細かく書くと必然的に分量が増えるので、教員や指導者から評価してもらえる可能性が高まります。
最後に、指摘されないことです。さっき言ったことと矛盾しますが、指摘されないケースもあります。
これは学校や人もにもよりますが、教員の中には自分の専門外のことはよく分からないという人がいます。そんな人に医者レベルの細かさの疾患病態を投げたら、間違いなくスルーします。教員が理解できていないので、その部分がお咎めなしとなるケースを自分も経験しているので、慣れてきたらチャレンジしてみてください。
まとめ
今回は関連図をどこまで細かくすればいいのかについて書いてまいりました。
まとめると、
・筋道が理解できる場合は細かい
・キーワードとなる単語が出ていれば細かい
・長い単語やアルファベット、数字ができたら深めるのをやめる
・細かくするには「なぜなぜ」を問い続ける
です。
かなり難しい悩みなので、この解決策で100%乗り切れることはないと思いますが、少しでも関連図作成の参考になれば幸いです。
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