男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は肝細胞がんです。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
肝細胞がんとは、肝臓にできたがんのことで、数多くの症状を引き起こします。
原因は代表的なところだとB型肝炎やC型肝炎、通常の脂肪肝、アルコール性脂肪肝などです。これによって慢性肝炎が生じると肝臓が硬くなっていき(肝硬変)、肝細胞ががん化します。
症状としては通常のがんと同様に、浸潤による炎症反応から痛みや発熱が生じることがあります。
肝細胞のがんが進行していくと、肝機能が低下し、肝不全の状態になります。
肝不全になると、以下のような症状が出てきます。
- 凝固因子の産生不足による易出血性
- ビリルビンの蓄積による黄疸
- 解毒作用の低下による肝性脳症
- 貯蔵グリコーゲンの減少や糖新生系の破綻による低血糖
- 血中アルブミンの低下による浮腫
- 門脈圧亢進による食道静脈瘤の形成や腹水
- 腹水による急性腎不全
また、がん細胞が腫大してくると肝臓表面が脆弱化し、腫瘍破裂を起こし、大量出血を起こすことがあります。
がんの拡大によって栄養奪取が進み、がん悪液質になると低栄養となります。
治療は外科療法による肝切除術、肝移植。穿刺局所療法によるラジオ波焼灼、TACE、TAE、TAI。化学療法、放射線療法があります。
看護問題・看護診断
- 低栄養
- 安楽障害
- セルフケア不足
肝臓は多くの栄養代謝を担っているため、肝細胞がんでそれが障害されると、低栄養の状態になります。
低栄養によって免疫力が下がったり、活動のためのエネルギーが不足したりするため、身体や生活面へ大きな影響を与えます。
ポイント
肝臓が数多くの機能を有しているため、肝機能が低下することで生じる症状は多岐に渡ります。
学生の皆様にはこの量の多さと複雑さが難しいところかと思います。
多くの病態関連図の中でも屈指の量と複雑さでしょう。
書けるようになるためには、まず肝臓の機能を把握すること、すなわち解剖生理学の理解が必要になります。
肝細胞がんの関連図を書く際には解剖生理学の教科書を使いましょう。
肝細胞がんの病態関連図
肝細胞がんの病態関連図↓
事例関連図はこちら
参考引用文献
JST外科と代謝・栄養50巻6号2016年12月.「重症病態における栄養管理」肝不全
南山堂.看護のための臨床病態学改訂4版.肝臓がんp253
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
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