男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関連図です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
筋萎縮性側索硬化症とは、一言で言うと筋肉が衰える難病です。
しかし、筋肉そのものに障害があるのではなく、運動ニューロンが障害されているのが病態です。運動ニューロンは筋肉を動かす指示を伝達する役割がありますが、運動ニューロンが障害されると、筋肉が動かしにくくなり、動かなくなった結果、筋肉が衰えていってしまうという病態です。
筋ジストロフィーなどは筋肉そのものに障害があって衰えていきますが、こちらは神経系が病態の本質になります。
原因は未だ不明ですが、加齢変化や遺伝子の異常などが考えられています。ちなみに、この疾患は遺伝する可能性は通常ありません。
症状ですが、筋力低下がメインです。
部位は関連図では以下の3つに分けています。
- 口・喉周りの障害(球麻痺)
- 四肢の筋力低下
- 呼吸筋の障害
日常生活動作や社会活動、そして生存に関わり、看護の必要度が高いと言えます。
また、症状の特徴として、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが挙げられます。病態が運動ニューロンの障害のため、自律神経系や感覚神経系で支配されている機能は維持されるのです。
治療は主に対処療法です。
リルザールやラジカットという薬はALSの進行を遅らせます。
看護問題、看護診断
- セルフケア不足
- 廃用症候群
- 誤嚥リスク状態
- コミュニケーション困難
全身の筋力が低下していくため、それに伴い全ての身体機能が低下します。
セルフケア能力は勿論、嚥下機能や呼吸機能など生存に不可欠な動きもできなくなります。
看護ではこれらをできる限りサポートできるようにする必要があります。
ex.
ケアとして、以下のものが挙げられます。
・リハビリテーション:筋萎縮による筋力低下を防止
・酸素療法:人工呼吸器の前段階として行うことあり
・経管栄養、胃瘻、食形態の工夫:嚥下障害による誤嚥予防
・コミュニケーションの工夫:筆談、コンピュータによるコミュニケーションなど
関連図のポイント
筋萎縮性側索硬化症の関連図では、症状の進行がどこまで来ているのか、また、今後どこまで進行する恐れがあるのか、がポイントになります。
これは、筋萎縮性側索硬化症が看護の必要度が高いことと関係しています。
関連図の後工程にくる看護計画では、症状の進行具合によって、どこが問題となるのか、あるいは、将来問題になりそうか、と判断します。
例えば、今はまだ歩けていても、過去に比べるとふらつきが増えてきていて、将来的には下肢筋力の低下から歩行困難となる可能性が高いと考えられれば、リハビリや生活動作の中で足を使う訓練を行うことにつながります。
このように、治療による比重が大きくない疾患は看護の力が大いに発揮しやすいため、関連図でもその判断材料の重要性が増します。
故に、症状の進行度が関連図の中にきちんと組み込まれていることがポイントになります。
筋萎縮性側索硬化症の病態関連図
筋萎縮性側索硬化症の病態関連図↓
引用参考文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
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