男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
今回の関連図は頸髄損傷です。
この記事で知れること
- 看護学生レベルで知っておいた方がいい疾患病態情報
- 本疾患でよく出る看護診断、看護問題
- 本疾患関連図の特徴や押さえておいた方がいい知識
病態
頸髄損傷は脊髄損傷の一種で、身体への障害性が最も高いものです。
脊髄の損傷原因は主に外傷で、交通事故や転倒転落事故、スポーツ外傷が主です。また、骨粗鬆症や後縦靱帯骨化症を持っている状態で強い外力が加わると損傷のリスクが高くなります。
脊髄は損傷することで、その損傷部位よりも下側が障害されます。頸髄は脊髄の中で最も脳側(上側)にあるため、ここが障害されることで頭以外のほぼ全身に障害が出ます。
頸髄損傷では、さらにその中で7つに分かれており、どこを損傷したかで少しずつ障害の違いが出てきます。
詳細は以下の画像を参照ください。
今回は最も障害性の高いC2-C5間の頸髄損傷を書いていきます。
病態としては、完全な断裂と打撲・脊椎骨折や腫れや血腫による脊髄の圧迫の2つに分かれます。
打撲・脊髄の圧迫は、神経系や筋力の一時的な低下が生じますが、脊椎骨折の治療や腫れ・血腫の消失により回復する見込みがあります。
完全な断裂の場合は、脊髄神経が切れているため、完全な回復の見込みはありません。
脊髄の神経が損傷によって機能不全に陥ると、感覚神経障害、運動神経障害、自律神経障害が出現します。
感覚神経障害は、感覚が消失したり、痺れなどの異常感覚が出現します。
運動神経障害は、四肢麻痺の状態となり、運動機能低下または喪失が起こります。基本的には寝たきり状態となり、廃用症候群が生じるリスクが高くなります。また、麻痺は数週間にかけて進行していきますが、不随意かつ遷延性の筋攣縮が生じます(痙性麻痺)。
自律神経障害は無意識に行っている身体機能を司るため、様々な障害が生じます。消化機能障害では、腸蠕動の低下や消化不良が生じ、便秘や軟便を起こします。排泄機能障害では、尿・便失禁を引き起こします。血流調節機能障害では、血流の調整が困難となり、起立性低血圧が起こりやすくなります。汗腺機能不全では、汗が出なくなるため、体温調節が困難となり、暑さや寒さに対して弱くなります。その他にも性機能障害などを生じます。
治療は、根治治療はなく、頸髄の安定化を図る固定術、カラーによる固定、各種症状を軽減させるため薬物療法が実施されます。運動機能の回復や改善のため、理学療法、作業療法などのリハビリテーションも同時進行で行っていきます。
1週間以内に感覚・運動障害の回復が始まった場合、良好な回復が見込めますが、6ヶ月〜1年経っても回復の兆しがない場合は、恒久的に機能不全が持続します。
看護問題・看護診断
- セルフケア困難
- 廃用症候群(便秘・拘縮・褥瘡・感染症等)
- 安楽障害
頸髄損傷では身体への障害性が高く、寝たきりの状態となることが多いです。そのため、自身で生活動作が行えなくなったり、長期臥床に伴う障害が出てくるなどの看護問題が生じてきます。
ポイント
脊髄損傷全般に言えることですが、どの部位を損傷しているのか、また、一時的なものか恒久的なものかを見ることが必要です。
頸髄のみをとっても動かせる場所が変化するため、自立度に大きく影響します。
関連図に書く症状の種類や程度も変化しますし、看護問題・看護診断も変わる可能性があります。
患者に今どんな症状が出ているのかを情報収集して患者に合った症状を選択しましょう。
頚髄損傷の病態関連図
頚髄損傷の病態関連図↓
参考引用文献
医学書院.看護診断ハンドブック第10版
医学書院.疾患別看護過程第2版
関連リンク
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